土手の上

 土手の上には、人や車が陸続として通つてゐた。氷店、心太《ところてん》を桶《をけ》に冷めたさうに冷して売つてゐる店、赤い旗の立つてゐる店、そこにゐる爺《おやぢ》の半ば裸体《はだか》になつた姿、をりをりけたゝましい音を立てて通つて行く自動車、川の向うに見えてゐる大きな煙突から渦《うづ》まきあがる煤烟《...

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夕暮の闇の中

 で、それがすむと、その父親は、そのまゝ小さな棺をかついで、サツサと墓地の方へと行つた。かれは不思議な気がせずには居られなかつた。かれはその姿の夕暮の闇の中に見えなくなるまで見送つた。「仏は人間のことのすべてを知つてゐる。人間の犯した過去の罪を総《すべ》て知つてゐる。」かう思ふと、かれは其処に落着...

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夕暮の色は既に迫つてゐた

 夕暮の色は既に迫つてゐた。 かれは外に出て見た。果して小さい棺が山門と本堂との間の敷石の上に置いてあるのが白くさびしく見えた。 かれは傍に行つた。「穴は掘つてあるのか?」「今、掘つてらあ!」 見ると、もう一人の男が墓地の方で頻《しき》りに鋤《すき》を動かしてゐるのが見えた。「本堂へ持つ...

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