朝起きると

「いえ/\、貴方《あなた》が寺をおいでになつてから二年ほど経《た》つか経たないほどです。」「さうですか……」 意想外な気がかれにはした。 それからそれへと種々なことを思つてゐる中に、かれはいつとなく睡眠《ねむり》の襲つて来るのを感じた。そのまゝぐつすりと寝込んで了つた。 朝起きると、日がもう...

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蚊帳《かや》の中

 ふと気がつくと、自分は蚊帳《かや》の中に寝てゐるのだつた。それは囲炉裏《ゐろり》のある隣の一間であつた。世話をする婆さんの寝てゐるいびき[#「いびき」に傍点]の音は向うの間《ま》からきこえて来てゐる。蚊のぶん/\唸《うな》る声が聞える。かれは容易に眠られなかつた。「遠い昔だなア――」 かう思ひ...

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囲炉裏《ゐろり》

 かう言つて頭を振つてゐるのが窓に映つて見える。「ぢや、待つて……」 かう言つてかれは立上つた。 かれは其処を出て、この庫裡《くり》――囲炉裏《ゐろり》のあるこの庫裡に来た。今と少しも変らないこの庫裡に……。現に、その板戸がある。竹と松の絵が黒く烟《けむり》に煤《すゝ》けた板戸が依然としてある...

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