やさしい星《ほし》

「その体《からだ》が、堅《かた》い鉄《てつ》で造《つく》られていますから、さまで応《こた》えないのです。」と、やさしい星《ほし》がいいました。 これを聞《き》くと、運命《うんめい》の星《ほし》は、身動《みうご》きをしました。そして、怖《おそ》ろしくすごい光《ひかり》を発《はっ》しました。なにか、自分《じぶん》の気《き》にいらぬことがあったからです。「そんなに堅固《けんご》な、身《み》のほどの知《し》らない、鉄《てつ》というものが、この宇宙《うちゅう》に存在《そんざい》するのか? 俺《おれ》は、そのことをすこしも知《し》らなかった。」と、盲目《めくら》の星《ほし》はいいました。 鉄《てつ》という、堅固《けんご》なものが存在《そんざい》して、自分《じぶん》に反抗《はんこう》するように考《かんが》えたからです。 このとき、やさしい星《ほし》はいいました。「すべてのものの運命《うんめい》をつかさどっているあなたに、なんで汽車《きしゃ》が反抗《はんこう》できますものですか。汽車《きしゃ》や、線路《せんろ》は、鉄《てつ》で造《つく》られてはいますが、その月日《つきひ》のたつうちにはいつかはしらず、磨滅《まめつ》してしまうのです。みんな、あなたに征服《せいふく》されます。あなたをおそれないものはおそらく、この宇宙《うちゆう》に、ただの一つもありますまい。」 これを聞《き》くと、運命《うんめい》の星《ほし》は、快《こころよ》げにほほえみました。そして、うなずいたのであります。 また、しばらく時《とき》が過《す》ぎました。空《そら》に風《かぜ》が出《で》たようです。だんだん暁《あかつき》が近《ちか》づいてくることが知《し》れました。 星《ほし》たちは、しばらく、みんな黙《だま》っていましたが、このとき、ある星《ほし》が、「もう、ほかに変《か》わったことがないか。」といいました。

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